夜の彷徨は、ラリー・カールトンが1978年に録音、日本に大ブームを巻き起こしたフュージョン・ギター名作中の名作。フュージョン・ギターの代表曲「ルーム335」他を収録。 (C)RS

ラリー・カールトンはクルセイダーズで脚光を浴び、その後ソロ・アーティストとして人気者になったけど、そのきっかけとなったのは、なんといっても78年に録音した本作。彼のニックネーム“ミスター335”は本作で使用している愛用のギター、ギブソンES-335に由来する。みずからのスタジオも“ルーム335”と名付けたほどで、この当時のカールトンは335にぞっこんだった。鮮やかなフィンガリングと絶妙なチョーキング、そしてディストーションのかかった独特の音が最高にカッコよくて、当時多くの若者がこのアルバムに熱狂したものだ。技術的な面もさることながら、ジャズ、ソウル、ロックなどあらゆるポップ音楽をミックスした独自の音楽性はバラエティ豊かで、まさにフュージョン・ギターの旗手にふさわしい。共演はグレッグ・マシソン、エイブラハム・ラボリエル、ジェフ・ポーカロなど。オープニングの<1>はデイヴ・グルーシン作曲の「キャプテン・カリブ」と並ぶフュージョン黄金時代の人気曲だ。カールトンといえば、なにはともかく本作から。(市川正二)

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